シジミを冷凍保存すべき理由イメージ

しじみは、あえて冷凍保存してから食べるのが正解な理由

Daisuke Sadamori

最終更新日: 2019.12.10

仕事で疲れて帰ってきたときの、一杯のしじみの味噌汁。シンプルでおいしいのですが、ナマモノなので保存がきかないのが難点です。また、おなかがペコペコのときには、悠長に砂抜きをやっている余裕もないですよね。

 

特にひとり暮らしだと食事が不規則になりがちなので、しじみをせっかく買ってもだめにしてしまうこともあるのではないでしょうか。

 

そんな方に朗報です。

 

しじみは買ってすぐ食べるよりも、あえて冷凍保存してから使った方がよい食材の1つなのです。

 

冷凍する方がよい理由はシンプルに次の3つです。

 

  1. 体にやさしい成分の増量
  2. おいしさそのまま、カップラーメン並み時短調理
  3. 小分け保存で、必要なときに必要なだけ

 

それでは、3つの理由を詳しく見ていきましょう。

 

1.体にやさしい成分が増える

しじみは、冷凍すると肝臓のはたらきをよくするオルニチンと呼ばれるアミノ酸の一種が急激に増えることがわかっています。

 

二日酔いのときに、しじみ汁を飲むと良いとされているのはこのためです。

 

オルニチンは、タンパク質を構成するアミノ酸の1つであるアルギニンが水と反応することで生成されます。アルギニンは、しじみに豊富に含まれていて、苦みと海産物らしい風味作り出すタンパク質を構成するアミノ酸です。

 

理論上は、オルニチン増加=>アルギニンの減少=>苦みと海産物らしさの減少と考えられます。

 

しかし、筆者の経験では、冷凍しじみとそうでないものの味の差は、微妙で違うものだと言われなければわからない程度です。ただ、かすかに冷凍しじみで作った汁のほうが逆に貝の味が濃いかも?と思いました。

 

2.おいしさはそのままなのに、カップラーメン並み時短調理

インターネットでは「しじみは冷凍するとおいしくなる」と紹介されていることが多いですが、この表現は正確ではありません。

 

実際は、冷凍により細胞が破壊されることで、うまみ成分が細胞の外にでてくるだけです。細胞を破壊する方法は冷凍以外にも、ゆでる、切るなどの調理法もあるため、冷凍のほうがよいとは一概にはいえません。

 

違いは、冷凍しじみの場合、沸騰したお湯にいれたらすぐにダシがとれるということです。また、しじみは身が小さいため、味噌汁の具としてわざわざ食べない方も多いかもしれません。その場合、お湯にうまみが溶け出すような形にあらかじめ準備しておくほうが、しじみのうまみを簡単に楽しめるわけです。

 

しじみのうまみの主成分は、次の2つです。

 

  1. グルタミン酸
  2. コハク酸

 

グルタミン酸は、アミノ酸系のうまみ成分で、昆布にもよく含まれています。コハク酸は、貝類によく含まれている有機酸系のうまみ成分です。どちらの成分も冷凍しても壊れない成分であり、水に溶けやすい(コハク酸はお湯)ため、冷凍しじみは味噌汁の具に最適です。

 

使い方は凍ったままの、しじみを沸騰したお湯に入れるだけです。冷凍により細胞が破壊されているので、煮込まなくても一瞬でうまみを抽出。カップ麺の感覚で家庭の味噌汁ができます。

 

ただし、ダシではなく貝の身自体の食感と風味を楽しむような料理(炊き込みご飯など)の用途にはむいていません。

 

しじみは、すぐに火が通るのでカップ麺ほどの手軽さはないものの、冷凍しない場合でも調理自体は長くはかかりません。しじみの調理で一番時間がかかるのは、砂抜きです。砂抜きが必要のないとされているしじみでも、「じゃり」っというあの不快な感覚を味わうことが多いものです。

 

通常、塩抜きには少なくとも1時間、十分にということであれば6時間程度かかります。

 

しじみを冷凍して保存する場合は、大量に買っても砂抜きは一度きりです。どんなに忙しくても砂抜きさえ終わっていれば、調理はお湯をわかすだけですみます。

 

3.小分け保存で、必要なときに必要なだけ

1人暮らしや夫婦だけなど人数が少ない世帯の場合は、しじみをパックで買うと多すぎることもあるのではないでしょうか。

 

そんな時には、人数分に小分けして冷凍保存が便利です。おいしさ・風味を失うことなく、1ヶ月程度は保存が可能です。酸化やニオイ移りを防ぐためにジップロックなど閉められるプラスチックの袋に人数分を入れるだです。

 

個々の好みにより多少違いはありますが、1人分は50~70g程度を目安にしてください。

 

とうぜんのことながら、冷凍する前には砂抜きをしておく必要があります。冷凍すると、しじみが死んで砂を吐き出せなくなるためです。

 

正しい砂抜きの方法は、別の記事で詳しく紹介したいと思いますが、砂抜き後にやっておきたいことが1つだけあります。

 

しじみを空気中に放置することです。

 

理由は、しじみのおいしさの主成分であるコハク酸を増やせるからです。

 

コハク酸は、貝類が空気中で呼吸ができないときに、体内に蓄積されたグリコーゲンと呼ばれる糖質をエネルギーとして代謝活動を行うときに作られる副産物です。

 

夏場は、食中毒を避けるために冷蔵庫で1~3数時間放置し、それ以外の涼しい季節のときは室内でかまいません。ただし、マンションなど全館暖房で室温が24度など高めに設定されている場合は、ベランダなど直射日光の当たらない場所においたほうがよいです。

 

まとめ

しじみは冷凍して使ったほうがよい理由を解説しました。理由はシンプルに3つでした。

 

まず、酒飲みにはうれしい肝臓の働きを助けるオルニチンという成分がふえるということです。この成分は理論上しじみの味を左右するアルギニンというアミノ酸が反応して作られますが、理論と違い実際は味の違いを感じることはないでしょう。

 

次に、ネットで広められている情報と違い冷凍だけでは、しじみの味がよくならない理由を説明しました。ただし、おいしさが減ることもないため、汁物を作るときは、調理時間の短縮ができるだけでも十分価値があると思います。おいしさが同じで調理の時短が望めるなら、誰でも冷凍保存を選びますよね。

 

最後に、小分けにして保存する方法と保存前の簡単なおいしさアップの方法を紹介しました。冷凍もの全体に当てはまることですが、解凍したものをもう一度冷凍するのは食品衛生上絶対避けたい行為です。また、保存は1か月が目安だと書きましたが、開閉が多い場合は期間を短めにしましょう。

 

砂抜き後にしじみを空気にさらすことに関しては、やりすぎないことがコツです。おいしさを求めて食中毒になるのは、ばからしいですから。特に秋の初めはすごく暑くなることもあるので、注意してください。

シェア

hatena bookmark

ディスカッションに参加

daisuke avatar
Daisuke Sadamori

デザイン・テクノロジー・データの3つが大好きなデジタルコンサルタント。 日々の生活や仕事の中で、この3つをどうやってうまく使っていくかを常に模索しています。

ついでに料理は作るのも食べるのも好き。最近のお気に入りは、低温調理と常備菜。ちなみにエスプレッソマシンは全自動。

トップへ

ピックアップ記事