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在宅勤務(テレワーク)を成功させるためにやるべきこと

Daisuke Sadamori

最終更新日: 2020.04.11

通勤ラッシュ時間帯の満員電車に乗ったことありますか?

 

暑い・臭い・キツイの三拍子ぞろいで、かなりの地獄です。特に東京の混雑具合は以上で、都知事選で候補者が政策の一部としてあげるぐらい。

 

解決策の1つとしてあげられていたのが在宅勤務(テレワーク)です。

 

ただ、現実的には通勤電車の混雑具合が緩和されるほど多くの企業が本気で取り組んでいませんでした。その状況を急変させたのが、コロナウイルスの感染拡大です。

 

在宅勤務(テレワーク)は通勤ラッシュ完全に回避できるだけでなく、災害時にも有効な手段です。「じゃあすぐに導入しよう」とした企業が多かったようですが、そんな簡単にいくはずがありません。実際、導入を決めた企業の中でも、きちんと実施できている会社は少数派。

 

なにごともうまくやるにはコツがあります。

 

筆者は、もう何年も日本国内だけでなく国外でもオンラインで打ち合わせやデータのやり取りを行ってきました。その経験を元に、在宅勤務(テレワーク)を成功させるためにやるべきことを解説します。

 

企業は様々な業態があり重要視すべきポイントは異なりますが、業務内容にかかわらず共通で考慮すべきなのは以下の3つ。

 

  1. 仕事・作業スペースの確保
  2. 作業内容の明確化
  3. クラウドアプリケーションの導入

 

それでは、それぞれの点について詳しく見ていきましょう。

 

仕事をするスペースの確保

在宅勤務(テレワーク)というと、なんとなく家の中で自由に仕事をする場所を選べると思う方も多いですが、これが最大の間違いです。

 

「在宅勤務をする人」は「ノマドワーカー」ではないからです。在宅勤務は、あくまでも会社でする仕事を家の中でするということ。

 

ノマドワーカーのようにカフェでノートパソコンを使って自由にする仕事をしている人を真似て、家のソファーやベットで仕事をするなんてありえません。きちんと効率的に仕事をするには、仕事にあった環境が必須です。

 

家で仕事するにあたり最低限の満たすべき条件は次の2つ。

 

  • 仕事専用の机と椅子の確保
  • 家庭生活と切り離せる部屋の確保

 

当たり前のように見えるかもしれませんが、とても重要なポイントなので、1つずつ詳しく見てみましょう。

 

仕事用の机と椅子の用意

家で仕事をするときに多くの人がやってしまうミスが、きちんとした机を用意しないことです。

 

仕事は1日少なくとも7時間、残業がある会社では12時間以上机で作業することもあるでしょう。1、2時間であれば、ちゃぶ台で作業することも可能かもしれませんが、7時間は絶対に無理です。体が痛くなり、作業効率がどんどん下がります。

 

また、家庭持ちでダイニングスペースのある人は、ダイニングテーブルで仕事ができると思うかもしれません。しかし、これも基本的にはだめです。

 

なぜなら、ダイニングテーブルは食事をするところだから。

 

飲み物や食べ物をこぼしてパソコンを汚したり壊したりするのが目に見えています。これを避けるには、仕事をする専用の机が必要です。

 

仕事机の最低の寸法は、幅90cm x 奥行き45cm。

 

このサイズの作業スペースが用意できれば、15インチのノートパソコンをおいてタイピングするさいに、肘がギリギリのります。幅に関しては90cmが、A4見開きの書類を横で参照しながらノートパソコンを使えるギリギリのスペース。

 

長期的にテレワークするのであれば、幅120cm x 奥行き60cmがおすすめ。ノートパソコンとモニターを置くのに十分なスペースが確保できます。

 

また、机の高さも重要です。オフィス机で標準的な72cmの高さの机が使いやすいです。

 

椅子も机と同じくらい重要です。高級なオフィスチェアを用意する必要はありませんが、長時間座っても疲れない硬さと高さの椅子は必須でしょう。

 

ちなみに筆者はHerman Millerのアーロンチェアに、クッションを置いて使っています。

 

家族との共有スペースでない部屋の確保

机についての解説でダイニングテーブルは基本的に不可であると書きましたが、作業スペースとしても家族がいる場合、ダイニングルームは使えません。

 

必ずしも書斎を用意する必要はありませんが、扉を閉めることで他の家族が使うスペースときちんと分けられる必要があります。

 

家族の話し声や家事の音などがあると、仕事に100%集中するのは不可能だからです。

 

急ぎで資料を作っているときに、「掃除するからちょっと立って」と言われるのを想像してみてください。または、隣で子供がテレビゲームしている中で仕事をするのを想像してもよいかもしれません。

 

もしかしたら、ここまで読んで家族に静かにするように頼めば良いと思いませんでしたか?

 

このように考えたくなる気持ちはわかりますが、長期的には確実に失敗します。なぜなら、あなたの仕事に家族全員が振り回されることになるからです。次のような状況になったとき、あなたの家族はいつも我慢するのでしょうか?

 

  • いつ終わるかわからない残業
  • いつ終わるかわからない電話会議
  • 急なトラブル対応

 

家族のストレスが溜まることは間違いありませんが、あなた自身も家族に迷惑をかけているというストレスがかかります。

 

ですから、仕事と家族の生活サイクルを分けられるスペースの確保がテレワークの成功のポイントなのです。

 

作業内容の明確化

在宅勤務をする上で雇用者や管理職が心配するのは、「きちんと仕事しているのか確認できない」ということでしょう。

 

部下が目の届くところにいないと、サボるのではないかという心配です。なぜこのような心配をするのかというと、やるべき仕事が明確でないからです。

 

いつも場当たり的に、「これお願い」と丸投げで仕事を振っていると、どんな作業をいつまでに完了しなければ、納期に間に合わせられないということがわかりません。また、残業が常習化している会社でも、1日8時間の仕事を評価する「ものさし」がないので、部下の仕事の質を判断しようがないわけです。

 

日頃から仕事内容と作業時間をきちんとコントロールしていれば、在宅勤務になっても1日の最後に途中結果を見ればサボっていたかどうかはすぐに分かります。正直、サボっていたかどうかがすぐに分かるのであれば、サボる社員はいないでしょう。

 

むしろサボっていたと思われないように、集中して仕事をするはずです。

 

もちろん、どんな状況でもサボる人はいるので、その場合は評価基準に沿って上司がきちんと対処すればよいでしょう。

 

クラウドアプリケーションの導入

テレワークで困るのは物理的な作業環境だけでなく、コンピュータ環境も大きく変わることで、今までの作業フローが成り立たなくなること。

 

例えば、部下が作った資料を紙に印刷した状態でしか確認できない上司を考えてみてください。どこの会社にもいますよね。

 

テレワークでは、物理的に資料を渡すことができないので、どうしても上司自身が受け取ったデータを紙に印刷する必要がでてきます。さらに、印刷した資料をチェックを入れたものをスキャンして、部下にメールする作業まであります。

 

効率が悪すぎです。

 

このように、何でも仕事に必要なツールが揃っている社内では通用していた作業フローも、在宅勤務になると採用できないわけです。

 

解決策は、クラウドアプリケーションを導入し、作業フローを見直すこと。

 

以下在宅勤務で必須のクラウドアプリケーションを紹介します。

 

そもそもクラウドの意味がハッキリしない方は、こちらの記事を参照ください。特に、「クラウドできること」の部分でクラウドストレージについても解説しています。

クラウドって何?

 

クラウドストレージ

データによる内容の確認する作業フローがある程度確立している場合でも、データをメールでやり取りするのはかなり非効率的。

 

メールは添付可能なデータの大きさに制限がありますし、複数人で作業すると、どのメールの添付ファイルが最新の資料かわからなくなるからです。

 

ですから、データのやり取りは、上記の問題を簡単に解決可能なクラウドストレージが必須でしょう。

 

社内サーバーを使って社員専用のクラウドストレージを作ることも可能ですが、現在は安くて便利なクラウドストレージサービスがいくつもあるのでそちらを使うのがおすすめ。

 

仕事で使うのに適しているのは、次のアプリの有料版です。リンクのパスワード保護など、無料版にはない機能が搭載されています。

 

  • Box
  • Dropbox

 

オンライン会議アプリ

在宅勤務で共同作業するときに困るのが、コミュニケーション。

 

「そんなの当たり前!」と思ったかもしれませんが、実際にやってみると想像するよりもずと不便です。何が不便なのかというと、画面や資料を指で指して、「これ」とか「それ」と言えないこと。

 

同じ資料を見ていても、資料の中の別の項目の同じ言葉を見ていることさえありえます。

 

ですから、単純に音声による電話会議ができればよいわけではなく、きちんと画面の共有やマウスのコントロール権限を渡す機能を搭載したオンライン会議アプリケーションが必要です。

 

オンライン会議アプリケーションは多くの会社が提供していますが、主要なサービスは次のようなものがあります。

 

  • Zoom ミーティング
  • GoToMeeting
  • Google Meet
  • Microsoft Teams
  • WebEx

 

筆者は最後のWebEx以外は全部使ったことがありますが、おすすめは圧倒的にZoom ミーティング。ポイントは、直感的に使えることと、音声とビデオの質の高さです。また、MicrosoftとGoogleと違い、会社で採用しているOfficeツールと独立して使えるのも高ポイント。

 

どのアプリケーションも無料版が提供されているので、いくつか試してみるとよいかもしれません。

 

また、オンライン会議アプリではありませんが、社内コミュニケーションツールでは「Slack」、作業内容・進捗状況確認には「Trello」などもおすすめです。

 

在宅勤務(テレワーク)のまとめ

在宅勤務(テレワーク)をうまく導入するために準備しておきたいポイントを解説しました。

 

重要な点は次の3つです。

 

  • 家で仕事をするスペースを確保すること
  • 1日の作業内容を明確化すること
  • クラウドツールを利用すること

 

まず、在宅勤務はいわゆるノマドワーカーとは異なるため、家の中で仕事専用のスペースを確保しましょう。専用であることがここのポイント。スペースを確保することで物理的に作業効率が下げずに仕事できるだけでなく、気持ちを仕事に集中させることができるからです。

 

また、仕事のスペースと家族のスペースをきちんと分けることで、残業や急なオンライン会議もストレス無しで対応できるでしょう。

 

次に、1日ごとにすべきことを明確にすることも大切です。何をすべきかがハッキリしていれば、サボる暇余地がありません。というのも、ゴールが明確であるほうが、集中力を切らさずに仕事ができるからです。

 

また、仕事の明確化は、サボりぐせのある人だけでなく、マジメで働きすぎてしまうタイプの人にとっても仕事の終えどころが判断しやすいという点も重要でしょう。

 

最後に、在宅勤務ではクラウドツールをフル活用しましょう。物理的に仕事環境が変わっても、クラウドツールを利用することで時間とコストをかけずに会社と同じようなPC環境を用意しやすいからです。

 

ただし、クラウドツールは使い方を間違えると情報漏えい等につながりやすいので、日頃から社内でもクラウドサービスを使い慣れておくとよいでしょう。

 

在宅勤務をするときの参考にしてください。

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Daisuke Sadamori

デザイン・テクノロジー・データの3つが大好きなデジタルコンサルタント。 日々の生活や仕事の中で、この3つをどうやってうまく使っていくかを常に模索しています。

ついでに料理は作るのも食べるのも好き。最近のお気に入りは、低温調理と常備菜。ちなみにエスプレッソマシンは全自動。

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